
冒頭ナレーション(導入)
――風が吹いた。あの音が、脳の奥に蘇る。
夏の陽がまだ高く、校舎の窓に揺れる風鈴の影。
焼けたアスファルトの匂いが、記憶のすみにくすぶっている。10年前、あの場所で、4人は無邪気に笑っていた。
駄菓子屋の奥にある風鈴工場。
カラフルなガラスの向こうに、秘密はひっそりと眠っていた。あの日から時間が止まったまま――
それぞれが忘れようとして、けれど、忘れきれなかった「後悔」の念。今年の夏、再び動き出す。
「風鈴カフェ」という名目で文化祭の準備に向かったその日。
工場の扉は、誰かに開かれていた。そして、そこに届いていた。
4人の名前が連ねられた、“招待状”。
まるで誰かが風に託したかのように、そっと。
――風鈴は、まだあの“音”を覚えている。

「風鈴の音ってさ……夏の風を“記憶”してるんだって。」
誰が言ったかも思い出せない、子どもの頃の噂話。
今はもう営業していない――商店街のはずれ、
昔、僕たちがよく集まった駄菓子屋『風見堂(かざみどう)』。
その奥には、ひっそりと佇む、古びた風鈴工場があった。今年の夏、届いたのは一枚の招待状。
10年前に途切れた、あの日の続きを呼び起こすように、
僕たち4人の名前が並んでいた。音を失った工場に、一歩ずつ足を踏み入れたその時、
微かに、チリン……と風鈴が鳴った。音に呼ばれるように、今、再び始まる――
「あの夏の記憶」と「心の奥に隠していた後悔」の物語。
キャラ登場(オープニング演出 )
※舞台:高校3年の夏直前、放課後の教室
Scene 1: 「再会」
カラン、と遠くで風鈴の音。教室の外では、蝉が鳴いている。
教室のドアが静かに開く音。
制服を着た少年――**樹(いつき)**が一歩中へ入ってくる。その目はまっすぐ。けれど、どこか遠くの景色を見ているようだった。
「その日――夏を目前にした教室に、ひとりの転校生が現れた。
名前は、風見 樹(かざみ いつき)。アメリカ帰りの帰国子女。
けれど、彼はこの教室で“はじめまして”ではなかった。
…10年前、確かに、僕たちは一緒に笑っていた。」
風の音。カラリ、と誰かの机の上の風鈴が揺れる。
少し遅れて入ってくるのは、
元気な声とともに扉を開ける男子――蒼(あおい)。
蒼「よーっす!あれ、なんか……見たことある顔じゃね?」
続いて、落ち着いた声で入ってくる少女――香(こう)。
香「……夏って、いつから始まると思う?」
そして最後に、静かな気配で現れる少女――楓(かえで)。
窓の外を見つめながら、小さく、でもはっきりとつぶやく。
楓「この風、なんだか――懐かしい。」
「10年ぶりに、4人は“同じ教室”にいた。
それは偶然か、それとも――
もう始まっていたのかもしれない。あの夏の、続きを探す旅が。」

Scene 2: 「風鈴カフェ、始動」
ちょっとコミカルで爽やかな調子に切り替わる。
放課後のHR、クラスの文化祭企画が議題になる。
なぜか多数決で決まってしまったのは――
「風鈴カフェ」
担当に選ばれるのは、樹・蒼・香・楓の4人。
まるで何かに導かれるように。クラスメイトの何気ない一言がきっかけで、
商店街の外れにある、今は使われていない“あの工場”に行く流れになる。
Scene 3: 「そして、風が鳴る」
工場の扉がゆっくり開く。ホコリと風の音。
誰かが歩く足音、ギシッと鳴る床板。
樹が、かすかな笑みを浮かべながら言う。
樹「ここから、始めよう。
――10年前の続きを。」
その瞬間、奥の方から風鈴がひとつ、静かに……
**チリン……**と鳴った。
そして、誰かがつぶやく。
楓/蒼/香(誰でもOK)
「……風鈴が、覚えてる。」
